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文書管理とは
文書管理とは様々な社内文書を段階に応じて管理すること
文書管理の定義とは、社内にある様々な文書を管理することです。
具体的には、文書を「発生」「活用」「保管」「保存」「廃棄」に際して段階的に管理することを指します。リ
管理の方法は、紙文書と電子文書いずれかで管理する必要あり、いずれの媒体であっても適切な管理が必要です。
個人所有の文書と社内共有の文書を適切に管理する
また、文書の種類には、個人が持つ情報や備忘録などを個人が手元で保有している「個人文書」と、企業もしくは組織の有益な情報を社員全員が活用するために共有している「共有文書」があります。
文書管理が適切に管理できていない場合、個人が持つ有益な情報を企業全体で共有できないほか、共有文書にある情報を組織内で有効に活用することができないうえ、機密情報を保有している文書が情報漏洩してしまう恐れがあります。
そのため、個人文書と共有文書の双方を適切に文書管理することが、企業もしくは組織にとって重要となります。
文書管理の目的
書類記載内容を認知して情報漏洩リスクを把握する
では、企業にとって文書管理を行う目的とはなんでしょうか。
先ほど述べたように企業内には共有文書以外にも個人で保有している文書も多数あり、そこには機密情報記載の有無、どのような内容が記載されているか、組織内で認知されていることが大切です。
認知されていない状態であることは、その企業自体が情報漏洩リスクを把握していないことと同意です。
利用者と責任者を明確にして情報漏洩を防止する
まず目的の1つ目は、企業コンプライアンスの強化です。
適切な文書管理は、セキュリティ対策強化に繋がるため必然的にコンプライアンス強化に繋がってきます。
機密情報や個人情報が記載された書類など守秘義務のある書類が外部に流出すれば、企業の信頼失墜だけでなく、訴訟などの問題にも発展し経済的ダメージを受ける可能性も十分に考えられます。
適切な文書管理を実施していれば、文書の所在や利用者または責任者が明確になり、情報漏洩防止にも繋がります。
最近ではマイナンバーに関連する個人情報文書も増加しているため、企業のコンプライアンスをさらに強化する上でも文書管理は非常に重要です。
文書を探す時間を節約して業務を効率化する
またもう一つの目的としては業務の効率化を促進するためです。
企業には機密情報を記載している文書が多く、適切に保管しなければならない文書が多数存在します。
業務上必要な場面も多々あるので、書類を探す時間の削減が出来れば、業務の効率化につながります。
もし文書管理が徹底されていなければ保管場所がわからず、探すのに時間を要す上に、スムーズな情報共有も困難で業務上支障が生じてしまいます。
適切な文書管理をすることで、必要な資料を必要なタイミングで取り出すことが出来るので業務の効率化につながることは想定できます
上記目的のもと、企業は文書の管理を徹底していく必要があります。
次に文書管理の重要性について文書管理を怠ってしまった場合のデメリットも含めてご説明致します。
文書管理の重要性
文書管理の基本と目的についてご説明致しました。
次になぜ文書管理が必要とされているのか、文書管理の重要性について4つの理由を解説します。
①セキュリティリスクへの対策
自社独自のノウハウが流出するだけでなく、顧客の個人情報など漏洩すれば企業の信用問題にもなりかねません。文書管理は情報ガバナンスの一部です。
日本ネットワークセキュリティ協会が2018年に実施した調査結果によると、情報漏洩の原因は、置き忘れや誤操作といった内部からの流出が半数以上を占めています。
昨今テレワークなど働き方の多様化などの理由から、従業員の管理行き届きずらくなったり、SNSの利用が活発化している中、今やコンプライアンスは企業が守らなければならない最低限のルールになっています。
文書管理は情報漏洩などセキュリティリスクを抑えるのに大きな役割を果たします。
②業務効率の向上
文書管理ができていないと、書類を業務上必要になったときに見つけられず、無駄な時間を費やしてしまいます。
また、別事業部との連携や引継ぎにおいても文書管理ができていなければミスが発生する可能性があります。文書を整理して情報を見つけやすくすることで、アクセスする時間を短縮でき、業務効率を高めることができます。
コロナ禍でテレワークが進み、オフィス以外から文書やファイル取得する機会も多くなっているので、素早くアクセスできるだけではなく適切な管理方法も求められています。
③顧客満足度の向上
顧客満足度の向上は企業活動において重要なテーマの一つです。
文書管理ができていない状態であれば、顧客からの問い合わせにスムーズに対応できません。また、顧客の引継ぎ時のヒューマンエラーが発生してしまうだけではなく、時には誤送信によって情報漏洩に繋がってしまう可能性もあります。
文書管理が適切にできていることで、顧客の契約内容や過去の対応履歴などの情報を共有することができ迅速かつ適切な顧客対応が、顧客満足度の向上に繋がることに期待できます。
つまり文書管理は企業のセキュリティ対策だけでなく、顧客対応の改善にもつながる大切なプロセスなのです。
④文書管理スペースの削減
紙の文書は日々増え続けるため、定期的に整理・処分を行わなくてはなりません。
適切な社内ルールを構築し、上手に文書管理をして整理することで、管理スペースや保管する手間・コストの削減につながることと同時に機密文書放置による漏洩リスクの軽減にもつながります。
処分する上でも機密情報を記載している文書の処理は、必ずシュレッダーをかけて処分する必要があります。
個人文書に関してはどうしても各々で対応する必要があり、コンプライアンス意識によって個人の差が出てきてしまうので、心配であれば定期的に処分してくれる処理業者を検討してみるのも良いでしょう。
効率的な文書管理の方法
【整理】文書の分類
文書を部署別や種類別などに分類することで、文書を取り出しやすく、かつ管理もしやすくなります。
分類時は重複や情報漏洩に注意し、機密レベルを統一し管理することが重要です。
分類方法には、文書を管轄する総務部などの部門がルールを決め、トップダウン上から下へと分類を決めていく方式で文書を整理する「ワリツケ式」と、現場の担当者が実態を考慮して小分類→中分類→大分類と下から上へと文書を整理する「ツミアゲ式」があります。
一般的には「ツミアゲ式」で管理している組織が多いですが、双方の特徴を理解した上で自社への導入を検討しましょう。
【保存】文書のファイリング
ファイリングとは、文書をファイルやバインダーに挟んで格納する方法です。分類した文書ごとにファイリングすれば、文書をすぐに活用できます。
また、ファイリングする際には検索効率を上げるために、発生日や五十音順にするのが一般的です。顧客や取引先とのやり取りを重要度順・五十音順などで分類しファイルするのが良いでしょう。
【運用】文書管理のルール策定
文書管理はセキュリティ対策の観点から各々で対応するのに限度があるため、マニュアルや規定を作り、監督部門を設けて文書管理のルールを定めることが重要となります。
たとえば、管理対象となる文書の範囲や保管場所と文書の処分方法と処分頻度などを策定する必要があります。
部署ごとで管理ルールが異なっている場合、ヒューマンエラーが生じやすくなるため、部門間ルールを統一することと監督部門を設けて責任の所在を明確にしておくことがポイントです。
また、ルールを定めたら、そのルールを社内に周知し浸透させることも、文書管理を行う上で重要なポイントです。
【運用2】文書管理システムの活用
文書管理の方法でDX化が進んでいる中、文書管理システムを導入して文書管理をしていれば、文書の作成から保管、廃棄までの流れを一元管理することができます。
また、管理だけでなく情報の共有や検索が簡単に行えることも特徴です。
文書管理システムを利用すれば、電子データ保存を認める法律である「電子帳簿保存法」に対応することも可能です。
ただし、紙文書かデジタル文書かで管理方法は異なるので、マニュアルは2種類用意して頂くことが必要となります。
【処理】機密文書の廃棄
次に保管した文書の廃棄と処分についてですが、文書管理は整理して保管するだけではなく、定期的な処分が必要となります。
処分を怠ると管理が乱雑になり結果として情報漏洩につながる恐れがあるからです。
処理する方法でも社内でシュレッダー処理する方法があります。
また、機密文書廃棄の専門業者に依頼する方法もあります。
自社のセキュリティ対策の状況を鑑みた上で、処理方法を検討してましょう。
参考記事
文書管理は従業員個々の意識の違いに注意
文書管理で注意しなければいけない点は、従業員個々でコンプライアンス意識が異なっていることです。徹底することの難しさを念頭におきましょう。
「なぜ文書管理が必要なのか」を社内に周知してその重要性を認識してもらうとともに、社内で取り決めた管理ルールの浸透させるために、定期的な声掛けや企業コンプライアンス研修を実施するなど、従業員個々のコンプライアンス意識の底上げをしていきましょう。
法定保存文書と保存期間のルール
書類の保存期間は法律で定められている
書類には法律で保存期間が定められているものがあり、目安として、総務に関わるものは2〜5年、経理に関わるものは7年、会社法に関わるものは10年となります。
法令と該当する文書は、下記となります。
・法人税法・所得税法:仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、棚卸表、損益計算書
・労働安全衛生法:一般健康診断個人票など
・雇用保険法:雇用保険の被保険者に関する書類など
・労働基準法:労働者名簿、賃金台帳、就業規則、出勤簿など
・国税通則法:給与所得者の扶養控除(等)申告書など
・健康保険法
・厚生年金法
・証券取引法:有価証券届出書、有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書など
・消費税法:課税仕入関係書類、資産譲渡関係書類、財務関係書類
・商法:会計帳簿や賃貸対照表、付属明細書、株主名簿、社債原簿、株主総会議事録、取締役会議事録
保存期間が法律で定められていない書類は自社で定める
企業によって保存期間が異なるものや、法律で定められていないものも存在するため管理部門と上層部で保管期間の擦り合わせをする必要があります。
また、法律で規定されていない書類は、自社で保存期間を定めることになります。
全社一律に決められるものもありますが、部門ごとに決めるケースもあることでしょう。期限がバラバラになり管理が煩雑にならないように、最終的には全社で統一していきましょう。
文書を作成するタイミングで書類の廃棄の時期を決定することができない場合があるので、その場合は「短期保管」か「中長期保管」のどちらかだけでも判断してファイリングすることをおすすめします。
自社の文書管理に問題がないか確認を
組織共通の文書管理ルールを作成して、社内共有および社員浸透していくなかで文書管理の目的である「必要な文書の保管」と「情報漏洩セキュリティ対策」「情報の有効活用」の3つを実現できます。
文書管理は組織全体で行う重要な業務であると同時に、社員一人一人が企業コンプライアンスを意識し実施していくことが重要になります。
一人のミスが企業に大きな損害を与えるケースも多々あるため、今一度、自社の管理方法に問題ないか確認してみましょう。