料金はどのように決まっているのか?
業者によって料金体系が異なるので比較は難しい
いくつかの業者に相談したことがあるならば、機密文書・機密書類の廃棄処分の料金は単純に比較することが難しいことにお気づきかもしれません。
なぜなら業者によって回収費用と処理費用が別々の設定になっていたり、段ボールの箱数で計上する業者もあれば、総重量によって計上する業者もあります。
最低取扱量や最低料金などの設定をしている業者もあります。さらに作業負担の違い(階段作業の有無、書類分別の有無)を設けたり、箱代が別になっているなど、そもそも業者によって料金体系が異なるからです。
業者だって条件を詳しく聞かないと料金提案は難しい
それは業者の視点からも言えることで、本来、お見積りを提案するには様々な諸条件をヒヤリングしてからでないと、企業にも業者にも双方にメリットを感じられるギリギリの提案は難しいのです。
業者はギリギリの提案をしたいので、自社に合った独自の料金体系を構築していくことになります。
業者のサイトに料金を掲載していないケースが多いことも同じ理由です。
企業に安心して、かつ便利にご利用いただけるクオリティの高いサービスを提供しようとするならば、当然、高いコストがかかります。
しかし、コストを抑えないと価格メリットのある提案はできません。
企業から様々なヒヤリングを行ったうえでギリギリの条件を提示したいので、あえて料金を掲載しないという選択になります。
様々なケースに対応し、様々な企業に適用できる「簡潔明瞭な価格表」を作成することは容易ではないのです。
料金のインパクトは大きいので、それだけで比較されてしまう
また、料金を表示すると料金だけで比較されてしまうというデメリットも理由のひとつです。
業者の価格には理由があります。
セキュリティ対策も、人材育成も、認証取得も、保険加入もコストがかかります。
安価には安価の理由があり、高価には高価の理由があります。
しかし、料金という「数字」は比較しやすく、インパクトがあるので、他の説明が覆い隠されてしまうほどの力があります。
したがって、料金をお知らせするのはサービスをご理解いただいた後で、という姿勢を重視する業者も多いのです。
料金に影響するポイントを知ったうえで料金を比較しよう
では、料金はどのように決まっているのでしょうか。
機密文書の処理方法によって料金相場が異なるかというと、それよりは業者による違いの方が大きいです。
なぜなら、業者によって、セキュリティ対策のレベルや保険補償の条件、委託できる業務の範囲など、サービスの質と内容が異なるからです。
料金決定に影響を与えている具体的なポイントは以下の通りです。
料金に影響するポイント
- 情報セキュリティ認証の有無(ISO27001やプライバシーマークなど第三者機関の審査による認証取得)
- 加入している情報漏洩保険の条件(補償金額の上限)
- オプション料金の有無(階段作業などの搬出負担、回収時間の指定、ファイルやクリップ除去などの事前準備)
- 処理費用のほかに出張費(回収費用)、専用箱代、最低取扱料金の設定
- トラックや工場設備へのセキュリティ対策レベル
- サービス提供に関わる人員コスト(正社員のみで運営、アルバイトの活用、下請け業者への再委託など)
信頼できるサービスの中から、なるべく安価で納得できるサービスを
「書類処理はどこも同じ」ではありません。
当然、料金は業者によって違います。そして、料金の違いは数字の違いなので比較することは難しくありません。
同様に安全性や利便性も業者によって違います。そして、それらも注意すべきポイントさえ知れば、比較することは難しくないのです。
機密文書処理を委託するというのはリスクある業務をともに担う重要なパートナー選びです。長いお付き合いになり、相応の費用を負担することになります。
セキュリティ対策が不十分、損害賠償の補償も不十分、業務負担も期待するほど軽減されないというサービスは選択したくありません。
それはいくつかの適切な質問をすることで回避できます。
まずは信頼できるサービス、お願いして良かったと思える業者を選択し、その数社の中から、なるべく安価で納得できる価格のサービスを総合的に判断することが大切です。
機密文書処理方法によって料金相場は異なるのか?
機密文書処理には大きく分けて3つの処理方法があります。ただし、料金に影響するのは処理方法の違いよりも、業者による違いの方が大きいです。
なぜなら、セキュリティ対策レベルや損害賠償保険の補償条件が業者によって異なるからです。
大事なことなので、料金に影響する具体的なポイントをもう一度お伝えします。
- 情報セキュリティ認証の有無(ISO27001やプライバシーマークなど第三者機関の審査による認証取得)
- 加入している情報漏洩保険の条件(補償金額の上限)
- オプション料金の有無(階段作業などの搬出負担、回収時間の指定、ファイルやクリップ除去などの事前準備)
- 処理費用のほかに出張費(回収費用)、専用箱代、最低取扱料金の設定
- トラックや工場設備へのセキュリティ対策レベル
- サービス提供に関わる人員(正社員のみで運営、アルバイトの活用、下請け業者への再委託など)
主には上記が影響します。
つまり価格が安いということは、セキュリティ対策や設備投資、損害賠償保険の加入、提供業務の範囲が十分ではないケースも想定されます。
サービスに求める基準を明確にして、その基準に見合った業者であるかどうか、しっかりと見定めることが重要です。
溶解処理について
溶解処理は、機密文書・機密書類を専用の箱に詰めて、その箱を溶解釜へ投入して処分する廃棄方法です。
機密文書処理を委託された業者は、その機密文書を製紙メーカーまで搬送し、パルパーと呼ばれる大型ミキサーのような溶解窯に箱を未開封のまま投入します。
パルパーに投入さた機密文書は水と機械で攪拌されて繊維までバラバラの状態になり、情報抹消が完了します。
業者によっては確実に処理したことを証明する「溶解証明書」を発行してくれるので安心です。
ただし、輸送車の事故などによる情報漏洩リスクがゼロではないので輸送方法などを確認することが必要です。
また、クリップやバインダー、ホチキス、紐などの分別が必要なサービスも比較的多いので禁忌品についても必ず確認してください。
溶解処理の具体的な料金例として、日本郵政の溶解処理サービスの概要は次の通りです。
発送費用・溶解処理料・溶解完了証明書発行手数料・セキュリティサービス料が全て含まれており、北海道・沖縄を除く地域からは、小箱(A4サイズの紙で2,500枚程度)が2,425円、大箱(A4サイズの紙5,000枚程度)が2,685円です。
ホチキスやクリップ、紐、紙製のファイルなどの書類に付随するものは混入できますが、それ以外の文具やCD-ROMやフロッピーディスクなどの紙以外のものは混入できません。
同様にヤマト運輸の機密文書リサイクルサービスは小箱(A4サイズの紙で2,500枚程度)が1,650円、大箱(A4サイズの紙5,000枚程度)が2,079円です。
出張シュレッダーについて
出張シュレッダー処理については特殊シュレッダーを搭載した専用車が現地まで来て機密文書を細断してくれるサービスです。
運搬中の事故による書類紛失リスクがないこと、目の前で処理されるから安心であることがメリットとしてあげられます。
一方で、首都圏では駐車場確保の問題ほか、天候(雨&強風)に左右されること、作業時間短縮のため事前準備(異物除去してからの箱詰め作業)が大変で負担軽減が限定的であることなど、いくつかの注意点があるので気になることは入念に確認するようにしてください。
出張シュレッダー処理の具体的な金額は、業者や訪問エリアによって大きく異なります。
たとえば機密文書の出張細断を行う「出張細断.com」では、出張費と処理料金の合算方式となっています。
東京23区内であれば出張費にあたる「地域課金」が無料、多摩エリアなどの東京都内は1,100円、東京都外の近郊エリアは要相談となっています。
出張費にプラスしてシュレッダーでの処理料金が課金され、100Kg以下なら8,800円、それ以上は100kgごとに1kgあたりの料金変動になります。
専門工場でのシュレッダー処理について
専門工場でのシュレッダー処理は、機密文書をトラックで回収して情報抹消専用工場で細断処理を行うサービスです。
専門工場は情報抹消をするための施設なので、万全のセキュリティ対策が整っていて安全です。
回収から処理まで一社完結型のサービス(ワンストップサービス)なので、社員が業務に精通して責任感が強い業者が多いです。
一方で、トラックによる回収工程があるので搬送中の紛失リスク、情報抹消専用工場のセキュリティレベルなどサービス品質の確認が必要です。
専門工場で機密文書・機密書類を細断する専門工場シュレッダーサービスも、業者によってサービス内容や料金が大きく異なります。
輸送トラックのセキュリティ対策や専門工場の設備投資、情報セキュリティ認証の取得や社員育成への投資など、業者によってサービス品質にばらつきがあるからです。
具体的な専門工場でのシュレッダー料金は業者によって異なりますが、日本シュレッダーサービスでスポット回収を依頼する場合、料金は1箱20㎏容量で1,800円(税別)です。この金額は処理費用と回収費用、証明書発行費用を含んでいます。
第三者認証(ISO27001)を取得し、十分な情報漏洩保険にも加入しているので、サービス比較の基準としてご参照ください。
そもそも専門業者に依頼する必要があるかどうか?
情報漏えい事故が発生した場合の損失額は億単位
機密文書処理の業者選びはくれぐれも慎重に行いましょう。
法人の場合、万が一情報を漏洩してしまうと、賠償金の経済損失、信頼のダメージ、余計な業務負担など甚大な損害を伴います。
損害賠償の金額は、顧客1人あたり数千円から数万円程度が相場額といわれています。1人あたりの賠償額単価は決して高額ではありませんが、被害者の数が多くなったり二次被害が発生すれば、賠償金の総額はかなりの金額になってしまいます。
2014年に発覚したベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件では、流出件数は約3,504万件。当時おわびの原資として同社は1人500円として最大200億円を特別損失として計上していました。
また、IBMが発表した『2020年 情報漏えいのコストに関する調査』レポートによると、日本企業の場合、情報漏洩時に発生する総コストの平均額は4億5,000万円(1インシデントあたり)とされています。
これは、損害賠償や対応措置などで発生する費用で、これ以外に社会的信用の失墜や企業イメージのダウンによる経営損失も避けられません。
場合によっては、企業の存続に大きな影響を与える問題にまで発展してしまいます。
適切なサービスの導入は情報漏えいリスクを抑え労務負担も軽減する
自社でシュレッダー処理をする、業者に委託する、どちらの選択にも情報漏えいリスクは存在します。
しかし、適切なサービスを導入すれば情報漏えいリスクを安全に低下させることも可能です。かつ、業者に委託することで労務負担を軽減できる大きなメリットがあります。
リスクマネジメントの一環としてまずは業者選定のポイントを学び、適切な質問をすることで、安心できる、かつ、便利な専門業者を選定しましょう。
失敗しない料金比較
表示金額だけで業者選びをすることはリスク
機密文書廃棄の料金比較の注意点は、料金はサービス品質にかかわりが深いので表示金額だけで判断すると誤った業者選びをしてしまうリスクがあるということです。
料金はセキュリティ対策や人材育成、認証取得、保険加入などのコストが影響します。
サービスクオリティが違うなら料金が違うのも当たり前で、たとえ1箱あたりの料金を比較しても「最適な業者選び」に直結しません。
また、もうひとつの注意点として、そもそも処理業者によって料金体系が異なるので料金の単純な比較が困難なことがあります。
さらに、箱単位で料金設定しているサービスはある程度の費用が計算できますが、重量単位で料金設定しているサービスもあります。その場合、お見積りの段階では正確なキロ数は分からないので費用計算が不確定になるリスクがあります。
かつ、スポット的なご利用と定期的なご利用で料金設定を変えているサービスもあります。
オフィスに鍵付きの専用ボックスを設置するサービスではボックス使用料金が必要になるなど、サービスメニューによって料金の違いが生じることも、ますます料金比較を複雑にしています。
分かりやすい料金表は「お客様視点」の姿勢のあらわれ
これらからも分かる通り、様々なケースに対応し、様々な企業に適用できる「簡潔明瞭な価格表」を作成することは業者にとっても容易ではありません。
それでも業者の中にはホームページで料金を掲載している業者がいくつかあります。
料金表が存在して料金案内が明らかにされていることは、企業スタンスとして「お客様視点」を大切にしているといえます。
このような企業姿勢も業者選びのひとつの基準にしてよいと考えます。
料金のお問い合わせは適切な質問とチェックをセットで
繰り返しになりますが、安価であっても高価であっても価格には理由があります。費用比較は重要な検討ポイントですが、セキュリティレベルや利便性なども含めて総合的に判断することが大切です。
まずはサービスに求める「絶対に譲れない基準」を明確にしましょう。
そして、安心して任せられる業者、労務負担が軽減される業者であると判断した数社の中から、納得できる費用の業者を選択することをお薦めします。
ホームページ上で判断できない場合は遠慮なくお問い合わせして確認しましょう。 丁寧に回答してくれるかどうかも、ひとつの判断基準になります。
どのような業者に委託しても費用は必ず発生します。
機密文書処理という重要な業務を委託するパートナー選びです。安心な情報管理と労務負担の軽減を実現するために適切な質問と適切なチェックで「最適な業者選び」に成功することを願っています。