溶解処理とは?

製紙メーカーに持ち込んで書類を溶かしてもらう方法

溶解処理とは回収業者が製紙メーカーまで機密文書を搬送し、トイレットペーパーなどの再生紙を生産する工程を利用させてもらうことで情報抹消する方法です。

パルパーと呼ばれる巨大ミキサーのような機械に、機密文書が梱包された段ボール箱をそのまま投入し、水と撹拌力でバラバラになるまで崩します。

投入された機密文書は読解不能かつ復元不能となるため、情報は完全に抹消されます。

パルパーに投入されるまで複数の業者が関わるケースも

回収業者が責任をもってパルパーに投入するケースもありますが、製紙メーカーの倉庫に搬入するだけのケース、そもそも製紙メーカーに搬入されるまでに複数の業者が関わるケースもあります。

溶解処理の最大の特徴としては機密文書を開封作業することなく、梱包したダンボールのまま溶解処理を行うことです。

パルパーに確実に投入されるならば、機密文書が他の人の目に触れる心配がありませんが、製紙メーカーに頼るサービスなので、パルパーに投入されるまでのタイムラグや流れについて大きなバラツキがあります。

溶解処理とシュレッダー処理の違いとは?

シュレッダー処理は一社完結型のサービスが多い

処理方法の違いとしては、シュレッダー処理は専門工場でシュレッダーにかけて細断する方法であり、溶解処理は製紙メーカーの工場で紙をリサイクルする工程を活用することで溶解する方法になります。

業者のタイプの違いとしては、主に一社完結型(ワンストップ型)のサービスか、回収処理分離型(分業型)のサービスかに違いがあります。

シュレッダー処理の場合は機密文書廃棄の専門業者であることが多く、回収から配送および処理まで一社完結型であり、セキュリティ面を考慮して自社工場を完備している業者が多くあります。

溶解処理は回収処理分離型(分業型)のサービスが多い

溶解処理の場合は製紙メーカーのパルパーを利用する処理方法であるため、業者は自社工場を持っていません。回収業務と処理業務はそれぞれ別業者、分業型でサービスを提供しているケースが一般的です。

そのためサービス品質やセキュリティ面で業者ごとにムラがあるので、事前にサービス内容をリサーチした上で依頼するのがよいでしょう。

どんな業者に依頼するかは「機密文書処理の3つの方法」を参考にしてみて下さい。

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機密文書処理の3つの方法

溶解処理のメリットとデメリット

メリットは未開封で処理できること、提供業者が多いこと

溶解処理のメリットは、原則として段ボールを未開封で処理できることです。

また、焼却処理とは異なり二酸化炭素を排出することがありません。処理後の紙はリサイクルできるので地球環境に優しいといわれています。

業者にとってはトラックさえあればサービス提供できるので、溶解処理サービスを提供する業者はたくさんあります。お客様にとっては業者の選択肢が豊富にあることもメリットのひとつです。

デメリットは異物除去の分別が必要なこと

溶解処理のデメリットとしては、クリップやバインダーなどの分別を求めてくるケースが多いことです。

なぜなら、溶解処理を請け負っている製紙メーカーにとってはトイレットペーパー等の商品の品質維持が最優先であり、異物の混入は商品生産に不都合だからです。

また、溶解処理の場合は輸送トラブル防止のために取扱いは専用箱のみとしていることが多いです。

なぜなら、回収から製紙メーカーへの搬入までに複数の企業が関係したり、複数の倉庫を経由するケースが多いので、箱の迷子を防止するためです。

お客様にとって、機密文書を専用箱に移し替えることは大きな負担になります。

業者によって信頼性のバラツキが大きいこともデメリット

回収業者(委託先)と処理業者(製紙メーカー)という2つの企業が関わる回収処理分離型サービスなので、専門性に欠け、責任の所在があいまいになることもリスクになります。

たとえば 製紙メーカーの生産調整や処理能力の限界、他の持込業者の影響によってサービス提供が不安定になり、パルパーに投入されるまで長期間放置されるリスクがあります。

情報抹消の工程(溶解の工程)を請け負う製紙メーカーは 機密文書処理を目的とする工場ではないので、業者の出入り、一時保管管理、社員教育などのセキュリティ対策が最優先の工場ではありません。

もちろんスタッフ教育やオペレーションが行き届いている業者もありますが、持込先の製紙メーカーに頼るところが大きい処理方法です。

信頼性や安全性、使い勝手にバラツキが大きいので業者選びには注意が必要です。

溶解処理の流れ

基本的な溶解処理の流れ

ステップ1:指定の段ボールへ書類の梱包作業

業者によって禁忌品(段ボールに詰め込みNGの物)があるので事前にチェックが必要です。
また、専用箱しか取扱いできない業者もあるので注意してください。

ステップ2:ダンボール箱を業者が回収し、そのまま溶解処理工場へ搬入

ステップ3:パルパー(巨大ミキサーのような機械)に段ボールを未開封のまま投入

ステップ4:溶解した書類のリサイクル

ステップ5:完了後、溶解処理証明書の発行

確実にパルパーに投入されるまで安心してはいけない

溶解処理の場合、業者が請け負うのは搬送業務まで(ステップ2まで)が一般的です。

業者が責任をもってパルパーに投入しているケースもありますが、製紙メーカーの倉庫に搬入するだけのケース、そもそも製紙メーカーに搬入されるまでに複数の業者が関わるケースもあります。

セキュリティ上、サービス提供に携わる業者が多くなることは好ましくありません。

下請け業者を活用しているサービスの場合、本当に信頼できるサービス体制なのか、慎重にチェックしましょう。

溶解処理とSDGs

リサイクル利用することでSDGsに貢献する

最近ではSDGs(Sustainable Development Goals)がテレビなどのマスメディアでも多くとり上げられるようになりました。

「持続可能な開発目標」という意味で、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標として、17のゴールと169のターゲットが掲げられています。

SDGsの目標13が「気候変動に具体的な対策を」です。企業活動において環境を配慮した対策を考えると、日々発生する産業廃棄物である書類のリサイクルが身近なものとして思い浮かぶのでないでしょうか。

溶解処理では廃棄した書類分解し紙繊維に変え、その紙繊維は製紙原料となり、ダンボール、更紙、再生紙などを製造することが可能になります。

焼却処理よりも環境にやさしい溶解処理

また、溶解処理はパルパーで撹拌機と水で行っている為、焼却処理とは異なり、CO2や有害物質を排出することが少なく、溶解処理し、再生紙として製造することは、木材をパルプ化して紙を製造する場合と比べて、トータルのCO2排出量を大幅に削減することができます。

昨今、企業活動における廃棄物を限りなくゼロに近づける循環型リサイクルに取り組んでいる企業が多くなっています。企業活動において環境を配慮した対策ができているか考えてみてはいかがでしょうか。

業者選定は慎重にチェックする

セキュリティレベルとサービス内容は玉石混合

溶解処理については製紙メーカーと配送業者の回収処理分離型であるケースが多く、ひと言で溶解処理の業者といってもサービス内容やセキュリティレベルも様々なので、依頼する前の事前チェックが非常に重要です。

大切な機密文書の廃棄を依頼する業者です。 情報管理に不安が残ったり、労務負担の軽減も思ったほど実現できないという事態は避けてほしいと思います。

認証取得の有無や万が一の損害賠償金額を確認する

プライバシーマークやISO27001(ISMS認証)の第三者認証取得の確認や、万が一の際の損害賠償保険の加入の有無、加入金額の確認は必ず行うようにしましょう。

そして、まずは安心して快適にお付き合いできるパートナーを複数見つけ、その中から、なるべく安価で納得できる業者を選ぶようにしましょう。

利用する際は入念なチェックと必要に応じてお問い合わせすることをお勧めします。

詳しくは「これだけは確認したい機密文書処理の業者選定のポイント」をご参照ください。

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