業者選びの重要なポイントは4つ
情報漏えいの落とし穴は思わぬところに
「どこの業者にお願いしても、だいたい同じ。しっかり処理してくれるし、違うのは料金だけ」などと考えていませんか。
個人情報漏洩に関する大きな事故などが問題視されている中、機密情報の管理は企業にとって重要な課題です。
「不法投棄」や「名簿売買」などの悪質なケースだけではありません。業者に悪意はなくても、責任感欠如による不注意、リスク管理の甘さ、十分とは言えないセキュリティ対策など、情報漏えいの落とし穴は思わぬところに口を開けています。
処理されたはずの情報が、処理されなければいけない情報が、どこかで生きている。業者に処理を委託した機密文書が、どこかから漏洩してしまう。
処理業者の過失であってもマスコミは企業が十分な管理体制を整えていなかったと糾弾するでしょう。そのようなリスクはしっかりとシャットアウトする必要があります。
業者選びのポイントを知ることで的確な質問をしよう
上記ような情報漏洩リスクは処理業者の選び方さえ知っていれば回避できます。つまり、適切な処理業者を選ぶには、選び方のチェックポイントがあります。
ポイントを知ることで、業者のセールストークに惑わされず、自分の判断で適切な業者を見分けることができるようになります。的確な質問を投げかけることで、自社にあった楽で安心なサービスを選択できるようになるでしょう。
この記事では機密文書廃棄業者の選定ポイントをお伝えします。
業者選定においては数字で比較しやすい料金だけではなく、セキュリティ対策のレベルやサービスの使いやすさなどをしっかりと見極めて依頼しましょう。
機密文書処理にお金を支払う以上、「ここに処理をお願いして良かった!」と思えるサービスを選ぶことが重要です。
比較する4つのポイント(セキュリティ、料金、手間、業者の特徴)
業者選びの重要な検討ポイントは以下の4つです。
①セキュリティレベル
②料金
③手間(業者に渡すまでの事前準備の違い)
④業者の特徴(専門性の違い)
ポイント① 「セキュリティレベル」は認証取得と損害賠償保険で確認
サイトに記載のある内容だけで優劣をつけるのは難しいですが、優良な処理業者選びには次の2点を確認しましょう。
ひとつ目は、ISO27001やプライバシーマークを導入しているかどうか、という客観的な証拠です。
ISO27001は情報セキュリティマネジメントシステムのことで、プライバシーマークは個人情報の取扱いが適切であるかを証明する制度です。
いずれも取得には第三者機関による厳しい審査と定期的な更新審査があります。認証の取得と維持については相当の費用も必要になるので、セキュリティ管理、マネジメント体制の基準になるだけでなく、機密文書処理事業に真剣に向き合っているかどうかの姿勢を測る基準にもなります。
もうひとつは、万が一に備えての損害賠償保険です。
これも客観的な判断基準になります。
契約書に情報漏洩した場合の補償制度を設けているかどうか、また賠償上限額や適用条件など保険の内容も確認しましょう。
万が一の際のリスクを担保してくれる補償です。どのような補償内容、補償金額の保険に加入しているかどうかも、その業者が機密文書処理事業に真剣に向き合っているかどうかの姿勢を測る基準になります。
第三者機関による認証取得と十分な損害賠償保険への加入。
この2点はセキュリティに関わる最低限の確認事項です。どこの業者も「安心」と「安全」をアピールしますが、それは本当に信じられるのかどうか、客観的な事実に基づいて判断する必要があります。
ポイント② まずは安心できる業者を見つけて「料金」を比較する
機密文書処理は料金相場が分かりにくい業界です。
業者によって回収費用と処理費用が別々の設定になっていたり、段ボールの箱数で計上する業者も総重量によって計上する業者もあります。最低取扱量や最低料金などの設定をしている業者もあります。
また、機密文書処理の3つの処理方法によって料金相場が異なるかというと、大きな違いはありません。処理方法ではなく、業者による違いが大きいです。
したがって、スポット的なご利用であっても、定期的な回収のご利用であっても、まずはお見積りを聞いてみないと比較ができません。
ただし、業者の価格には理由があります。
価格はセキュリティ対策費用とサービス運営費用が反映するものです。当然ながら、安価には安価の理由があり、高価には高価の理由があります。
セキュリティ対策も、人材育成も、認証取得も、保険加入もコストがかかるので、クオリティの高いサービスは安価で提供することができません。
言い換えると、価格の違いとはセキュリティレベルや利便性などを含むサービスクオリティの違いです。
料金の比較は大切です。
だからこそ、まずは安心して快適にお付き合いできるパートナーを複数見つけ、その数社の中から、なるべく安価で納得できる業者を選ぶことをおすすめします。
料金を支払ったにもかかわらず、情報管理に不安が残ったり、労務負担の軽減も思ったほど実現できないという事態は避けてほしいと思います。
ポイント③ 労務負担を軽減するために事前準備の「手間」を確認する
せっかくお金を支払うのであれば労務負担の大幅な軽減を期待するでしょう。
手間の違いは「業者に手渡すまでの事前準備の違い」ともいえます。
それは主に箱詰め作業と禁忌品の有無で変わってきます。また、どのような箱でも取扱いできる業者と専用箱しか取扱いできない業者もあります。
さらに、ファイルやクリップなどの分別が不要な業者もあれば、異物除去を必須としている業者もあります。
たとえば溶解処理の場合、 クリップやバインダー、紐などの分別を求めてくるケースが多くなります。なぜなら、処理工場となる製紙メーカーはトイレットペーパー等の商品の品質維持が最優先だからです。
また、溶解処理の場合は輸送トラブル防止のために取扱いは専用箱のみとしていることが多いです。 なぜなら、回収から製紙メーカーへの搬入までに複数の企業が関係したり、複数の倉庫を経由するケースが多いからです。
お客様にとって、機密文書を専用箱に移し替えることは大きな負担になります。
出張シュレッダーサービスは、トラックの駐車場所の確保をどうするかという問題があります。天候や風の影響を受けやすいので駐車場所には注意が必要です。
また、出張シュレッダーサービスはお客様に異物除去してからの箱詰め作業をお願いしているケースが多いです。なぜなら、作業時間を短縮するためです。
シュレッダー作業に立ち会う時間は短縮できますが、事前準備の手間は意外に小さくありません。
一方で、工場におけるシュレッダー処理業者の場合は自社内のセキュリティ体制下で対応ができるので、禁忌品に対して柔軟なケースが多いです。
外部委託したのに作業負担があまり軽減されなかったということのないよう、禁忌品や専用箱の有無については必ず確認しましょう。
ポイント④ 「特徴」はサービス体制とスタッフ体制を確認する
機密文書処理は特別な教育と経験を必要とする専門性の高いサービスです。
今から20年くらい前まで、回収から処理まで一社完結で請け負う専門業者ばかりの業界でした。
しかし、個人情報保護法の施行以降、たくさんの業者が新規参入しています。
情報管理や情報抹消が注目されることで、機密文書の情報抹消がサービスとして認められるようになったからです。
従来の専門企業に加えて、廃棄物業者、倉庫業者、運送業者、オフィスサービス業者などが新規事業として参入してきました。
もちろん、新規参入でもしっかりしたサービスを提供している業者はありますが、現在の業者のサービスクオリティは玉石混合になってしまっています。
したがって、サービスクオリティの確認は必須であり、それを「特徴」で確認するならば、一社完結型のサービスかどうかというポイントは重要です。
セキュリティ上、サービス提供に携わる業者が多くなることは好ましくありません。
下請け業者を活用するサービスの場合、本当に信頼できるサービス体制なのか、慎重にチェックしましょう。
また、アルバイトなどを活用し、不慣れなスタッフでサービスを運用している業者があるので注意が必要です。
機密文書処理は特別な教育と経験を必要とする専門性の高いサービスです。可能であれば、回収から処理までの全工程を正社員だけで運用している業者を選ぶことをお薦めします。
機密文書処理のセキュリティ対策を重視するならココに注目!
機密文書の扱いで最も避けなければならない事態は機密情報が漏洩してしまうことです。
情報漏洩のリスクは社会的信用、多大な賠償金などリスクは計り知れず、小さなミスから廃業にまで追い込まれてしまう可能性すらあります。
では、何を確認してセキュリティレベルの高い業者を判断すればよいのでしょうか。
これまでに説明した項目も含めて、主に以下6点を確認してみてください。
業者のホームページを確認するだけではわかりにくいことがあるので、お問い合わせして直接確認することも良いでしょう。
①ISO27001やプライバシーマーク認証の有無
ISO27001は情報セキュリティマネジメントシステムのことで、プライバシーマークは個人情報の取り扱いが適切であるかを証明する制度です。
取得には第三者機関による厳しい審査と定期的な更新審査があります。
取得業者はセキュリティを担保できるようなマネジメント体制が整っているので、認証を取得しているかどうか確認してみましょう。
②損害賠償の補償制度
そのサービスには、情報漏洩した場合に備えて十分な補償制度が設けられているでしょうか。
損害賠償保険の賠償上限額や適用条件などについて、契約書に記載があるか確認しましょう。
万が一の際には企業を守る約束事になります。十分とは判断できない補償内容であれば交渉が必要です。
③証明書発行の有無
専門業者の多くは機密処理後に「機密情報抹消証明書」を発行しています。
証明書の発行は根拠ある処理方法で確実に抹消されたという証明になり、社内で処理記録として残しておくこともできます。発行してくれる業者を選ぶようにしましょう。
④トラックのセキュリティ
出張シュレッダーサービスであれば、屋外作業になるので盗難や盗撮のセキュリティ対策だけでなく、強風や雨に対する備えもリスク回避に重要な確認事項です。
溶解処理サービスやシュレッダー処理サービスでは、トラックによる搬送の工程があります。GPSの設置、荷台ロックなど回収トラックに設備投資しているかどうか、自社専用車であるかどうかも1つの確認ポイントになります。
⑤一社完結型
機密文書処理サービスの中には、サービス提供業者が回収業務と処理業務を請け負うのではなく、それぞれを別の業者に委託することで成り立っているサービスもあります。
たとえば、受付はサービス提供業者が請け負い、回収業務は運送会社に委託し、処理業務は製紙メーカーが溶解処理を請け負っている。
このように回収業務と処理業務が別業者になっている回収処理分離型サービスは複数の業者と人員が処理に関わるので、それぞれの都合が嚙み合わずにセキュリティレベルが不安定になる懸念があります。
また、管理や連携がスムーズに行き届かずトラブルとなるケースもあります。
回収業務から処理業務まで一社完結型でサービス提供できているかどうかも安心して任せられる業者を選定する一つのポイントです。
⑥スタッフ教育
これまでお伝えの通り、マネジメント体制やセキュリティ対策は重要です。
しかし、サービスを運用するのは「人」です。
機密文書処理は専門性の高いサービスですから、セキュリティ対策に力を入れている業者は社員教育も徹底しています。
アルバイトの雇用や下請け業者の利用には慎重です。正式な研修を受けている正社員のみで運営している業者もあります。
社員一人ひとりが意識していなければ、セキュリティに穴ができてしまいます。社員の専門教育に力を入れているかどうか確認してみましょう。
最後の裏ワザは、お客様の声
最後に機密文書処理の業者選びにおける裏技を付け加えておきます。
通常、処理業者のホームページには業者にとって都合がいい事しか書いてません。
しかし、嘘を書けないページもあります。
「実際にご利用されたお客様からはどのような声が集まっていますか?」
業者選びの際には必ずお客様の声を確認しましょう。
スーパーでもレストランでもホテルでもお客様アンケートという制度があって、利用者の苦情やお褒めの言葉などを会社として集めているのを見たことがあると思います。
このようなアンケートを実施している会社は、どうすればお客様に満足していただけるか常に考えています。
実際に利用したお客様の声には嘘がありません。そこにはサイトのサービス案内よりも営業担当のセールストークよりも真実があります。必ず確認しましょう。
業者選びは本当に大切です。
安心できて簡単な書類管理を実現できるか、リスクがあって面倒な管理業務が続いてしまうのか。その差は「適切な業者選び」それだけです。
チェック方法と判断基準を知れば的確な質問ができます。
サービス品質が伴った処理業者、自社の利用目的にあった処理業者を慎重に見極めましょう。