年間の携帯電話紛失数とは?
携帯電話やスマートフォンが紛失するケースとして外出先で紛失するケースが最も多いかと思いますが実際に紛失した携帯電話、スマートフォンが見つかった事例は年間でどれくらいあると思いますか?
警視庁による遺失物取扱状況(令和4年中)を参照すると、携帯電話類の取得届の数は127,577件、遺失届の数は197,544件となっております。(2023年3月13日時点)
およそ12万の携帯電話類が落とし物として届けられた中、持ち主に返還されたのは約87%にあたる110,525件です。
参考:警視庁「遺失物取扱状況(令和4年中)」
この数字だけ見ると、紛失してしまった携帯電話やスマートフォンが戻ってきた事例は比較的多い印象を受けますが、
ただ、必ずしも戻ってくるわけではないことに加えて、紛失している間に情報漏洩している可能性があるため、紛失しないようする必要があります。
携帯電話が紛失する原因
社用携帯を紛失するのには様々な原因があります。下記に主に原因で挙げられる5つの原因について詳しく解説していきます。
外出先での紛失
紛失の原因として多く挙げられるのが、外出先での紛失です。
例としては「業務での移動中に、社用携帯をいつの間にか落としていた」「飲食店に入ったとき置き忘れてしまった」「タクシーに乗っているときにタクシー内に落としてしまった」「かばんから書類を取り出した際に、社用携帯が一緒に落ちてしまった」など紛失の原因として多いです。このような事態は、外回りで外出することが多い営業職の方などが対象になる可能性が高いので注意しましょう。
使用後の置き忘れ
この使用後の置き忘れも紛失の原因として多く見られます。「外出先で飲食店のテーブルに社用携帯を置き忘れて店を出てしまった」「外出先で公衆トイレなどに入った際の置き忘れてしまった」「電車やタクシーに乗車中、座席に社用携帯を置き忘れて降りてしまった」などが挙げられます。これ以外にも、なども原因として多く見られます。
泥酔などにより記憶が曖昧な状況
これは社用携帯の紛失としてあってはならないことですが、泥酔による紛失も原因として多く挙げられます。「帰宅途中で立ち寄った居酒屋でテーブルに置きっぱなしにして帰ってしまった」「泥酔していて、ポケットやかばんから社用携帯が落ちてしまったことに気がつかなかった」そのような場合、泥酔していたことから記憶も不明瞭で社用携帯をどこに置き忘れたのか、どこに落としたのかも想定できない事態ともなりかねませんのに加えて紛失に気付くのが遅くなるケースが多いため、極力飲酒をした状態で社用携帯を操作することは控えましょう。
多忙を極める状況
仕事で多忙を極める状況では、備品はもちろん、社用携帯に関しても整理整頓を怠りがちになることがあります。
「また取りに来るから」「少しの間だから」と社用携帯を置いたまま放置すると、どこで置き忘れたかわからない状況に陥ってしまいます。なくしたものを探すことは、多くの手間と時間のロスを生じさせます。社内であっても、社用携帯の所持を確認してから移動することを心掛けましょう。
盗難被害
日本では割合として低いものの盗難による被害にも注意する必要があります。具体的には「トイレに行くために社用携帯を置いたまま席を離れてしまい、戻ったらなくなっていた」「社用携帯を入れたかばんを外出先で置き忘れ、誰かに持ち去られてしまった」というケースもあります。このような盗難被害も社用携帯紛失の原因として見られます。
社用携帯を紛失した場合のリスクとは?
基本的に社用携帯の中には、電話帳・通話履歴・メールやLINEの履歴など、自身の個人情報のみならずお客様の情報もたくさん詰まっています。
「自社の情報」「取引先の情報」「顧客の情報」どれも流出すると情報漏洩が起こり重大事件に発展すると、漏洩させた企業が法的な責任を求められることもあります。
また、個人情報は悪質な人の手に渡ると売却される可能性があります。
売却された情報は、詐欺事件やなりすましメールなどに悪用されて重大な事件に巻き込まれる可能性があります。
もし仮にあなたが社用携帯を紛失してしまったら、どのようなことが生じる可能性があるか認識し細心の注意を払っていきましょう。
不正アクセス
自社のログイン情報が流出すると、不正アクセスされる可能性も高まります。
不正アクセスが起こると下記のような発生することがあります。
業務データの喪失
不正改ざん携帯のデータを抜き取られる
フィッシングサイトへのリンクが記載されたメールなど、迷惑メールの送信元となる
ビジネスメール詐欺
マルウェア感染
Webサイトに悪意あるデータが入力・送信される
自社や他社のネットワークを攻撃する手段として使われる
経済的な損失
社用携帯を紛失して戻ってこなかった場合、携帯の端末代を損失したことになります。
それだけにすめば損失は少ないのですが、
紛失後に不正利用された請求も、場合によっては支払う必要が出てくるのに加えて、
仮に情報漏洩が起こり、個人情報保護法の命令違反をした場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金命令が発生することがあります。
法人に対しては、1億円以下の罰金という厳罰な罰則が定められております。罰則もそうですが企業そのものの信用が失墜し取引先との契約がなくなったり、最悪企業存続が出来なくなってしまうケースもありますので、経済的に損失の大きさはしっかりと認識しておきましょう。
参照:情報漏洩とは?リスクと対策について
業務の停滞
社用携帯を紛失すると対応に追われて営業活動が一時止まる可能性があります。
「誰かに拾われてないか」「不正アクセスはされていないか」「情報漏洩が起こっていないか」など、確認に人員を割り振らなければいけないので、通常業務と同じようにはいかないでしょう。
1人が社用携帯を紛失したことで、何人もの人が対応やリスク確認に駆り出される形となり通常業務が進まなくなります。
取引先の信頼を失う
取引先の情報が漏洩した可能性がある場合は、いつどこでどのような情報を漏洩した可能性があるのか速やかに伝えなければいけません。
たとえ被害がなかったとしても、情報漏洩の可能性を知った取引先からは、信頼を失ってしまうことになるでしょう。
情報漏洩が無かった取引先に対しても、一度情報漏洩が発生してしまうと「情報管理ができていない」という認識になり企業への不信感を持たれてしまう可能性があります。
一度失った信頼は回復に時間がかかり、企業のイメージダウンに繋がると意識しましょう。
内部に保存されていたデータが失われる
社用携帯を紛失してしまうと、手元に取り戻さない限り内部に保存していたデータは削除します。
バックアップやクラウドに保存していない場合は、社用携帯のデータを活用して業務を推進することが出来なくなるので、業務の遂行にも大きな影響が生じてしまいます。
社用携帯内部のデータが流出し悪用される
社用携帯を紛失した場合、内部のデータは大きなリスクとなります。もし悪意ある者の手に渡れば、さまざまな方法で悪用されるかもしれません。
基本的には取引先や顧客の情報が公開されるリスクが多いのですが、社員に関する情報や社外秘の情報が公開されるケースもあります。
具体的な例として以下となります。
取引先や顧客に被害がなくても、社用携帯の紛失により重大な被害をこうむるリスクはあります。以下の項目は、ぜひとも外部に漏れてはならない情報です。
開発中の製品やサービスに関する情報
従業員の個人情報
議事録や人事評価の内容など、社外秘とすべき書類
上記の情報が外部に漏れると、自社の優位性が失われる、従業員の生活にも悪影響が起こります。「情報管理がずさんな企業」という評価を受ければ、取引の継続や新規顧客の獲得にも影響が出ますし、採用活動にも悪い影響が出てくる可能性も高くなります。上場企業の場合は、株価が下がるかもしれません。
社用携帯を紛失してしまった場合の対策について
社用携帯を紛失したときの対応については、管理部署また社内共通認識として対応マニュアルを用意しましょう。
社用携帯には関係者の連絡先やメールなどの履歴、クラウドファイル共有システムへのアクセスなどの重要な情報が保存されているため、紛失した場合は必要に応じて内部データを削除することも想定してバックアップとっておきましょう。
ここからは、社用携帯を紛失したときに対応することを順番に解説します。
1.紛失時の状況を確認する
最後に社用携帯を使用してから紛失に気づくまでの自身の行動を振り返り、当時の状況を確認しましょう。
以下のように「何時に」「どこで」「携帯の使用の有無」を細かく振り返ってみることが良いでしょう。
○○時に外出し社用携帯で先輩と会話
○○時に○○までタクシーで移動中社用携帯メールチェック
○○時に○○で食事中に社用携帯がないことに気付いた
などできるだけ細かく確認します。
加えて、社用携帯の中に保存されているデータや端末のパスワード設定などについても再確認しましょう。
社用携帯がないことに気づくと、焦ってしまいがちですが、
この確認を行うことで、多少の冷静さを取り戻すことができるのと次に会社や警察に紛失を報告する際に、
情報が整理されているのでスムーズに対応することが出来ます。
2.会社や警察に紛失を報告する
整理した情報を会社に報告し、警察に遺失届を出しましょう。
基本的には会社の報告窓口は、統一されているケースが殆どですが、もし誰に報告すべきかわからない場合は、まずは上司に連絡しましょう。
駅や飲食店、商業施設など特定の場所で紛失した可能性が高い場合には、その施設に連絡しておくのも早期発見に繋がります。
実際に12万の携帯電話類が落とし物として届けられた中、110,525件が持ち主に返還されたのは約87%と比較的戻ってくる可能性は高いので早期な対応がカギとなります。
参考:警視庁「遺失物取扱状況(令和4年中)」
3.遠隔ロックや位置情報を確認
会社に紛失を報告した後の行動は、端末を管理する部署の担当者の指示に従いましょう。
紛失した社用端末にデバイス管理ツールなどがインストールされている場合、GPSを使って端末の位置情報を確認したり、データを遠隔操作で消去したりすることができます。
また、不正利用を防ぐために通信キャリアに連絡してSIMカードの停止手続きや端末のロックをする必要もあります。
これらの作業は一般的に端末の管理部署が行いますが、担当者から紛失した社員本人に確認などの連絡がある可能性もあるため、できるだけ社内に留まるなどの対応が必要でしょう。
4.関係者への報告と謝罪
端末の紛失によって情報漏洩などのセキュリティ事故が発生した場合は、社内外の関係者への報告と謝罪も必要になります。
報告の内容や謝罪方法などは、被害の大きさや範囲によって異なるため、上司や会社の指示を仰ぎましょう。
社用携帯の紛失によるセキュリティリスクを減らすためには外出先でも使用することが多い社用携帯の紛失は、誰にでも可能性がある事象です。
このため、企業は紛失を前提としたセキュリティ対策をすることが重要です。
以下から社用携帯の紛失に備えて企業がやっておくべきことを説明致します。
・紛失時の対応マニュアルを社内周知する
紛失に気づいたときには、できるだけ速やかに対処することが、端末の発見と被害の防止に重要です。
紛失した社員が社内の連絡ルートや、適切な行動を正しく把握できていないと、対応が遅れて、本来は防げたはずの被害が広がってしまう可能性があります。
このようなことを避けるため、紛失時の対応はマニュアル化し、社用端末を持つ全ての社員に周知しましょう。説明会やセキュリティ教育などで対応方法を共有するだけではなく、社内用のポータルなどに掲載し、必要なタイミングでいつでも見られるようにしておくことが良いでしょう。
・端末は適切に設定する
紛失や盗難によって社用端末が第三者の元に渡った際に、容易に保存されている情報を閲覧や引き出しされないよう、以下のような設定をしておきましょう。
・画面には必ずパスワードをかける
・パスワードは複雑に設定し、定期的に変更する
・「端末を探す」機能をオンにする
・データなどはクラウドに保存し、本体には保存しない
・モバイルデバイス管理を導入する
端末が紛失・盗難にあった際には、遠隔操作で端末をロックしたり、機密情報を消去したりすることで、不正利用や情報漏洩のリスクを下げることができます。
万が一のときのために、遠隔操作ができるようにモバイルデバイス管理ツールを導入しておくのがおすすめです。
モバイルデバイス管理ツールとは、モバイル端末を一括管理することができるソフトウェアです。
社用携帯にインストールすることで、セキュリティポリシーに則った端末の制御、ネットワーク設定、遠隔操作、使用状況の確認などが行えます。
個人で紛失や盗難を防ぐ工夫をすることも重要
社用携帯の紛失や盗難は、会社にとってはもちろん、紛失した本人の信用にも関わる問題です。「なくしたことがないから大丈夫だろう」と楽観視するのではなく、常日頃から紛失や盗難を防ぐ工夫や心構えも大切です。
習慣で紛失・盗難を防ぐ
カバンの中や机の上にスマホの定位置を作る、移動前には必ず持ち物が全てあるか確認する、飲み会には持っていかないなど、紛失を防ぐための日々の心がけも重要です。
居酒屋に社用携帯を紛失するケースが多く見られます。そもそも、酔っ払った状態では仕事の連絡にもまともに対応できないので、基本的には連絡しないことが良いです。
必要に応じて以下のような連絡を関係者に入れて社用携帯は会社に置いておくのが良いでしょう。
「◯月◯日は私用のため、◯時以降の携帯電話へのご連絡には対応いたしかねます。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」
アイテムで紛失・盗難を防ぐ
薄くて小さな携帯端末は、電車に座ったときなどにポケットからするっと抜け落ちてしまうことがあります。
ネックストラップをつけて首から下げたり、紛失防止タグをつけたりなど、紛失を防止するアイテムを使いましょう。
関連記事:情報漏洩とは?リスクと対策について